漆塗りの新たな世界

漆は自然界の産物でゆっくり乾いて丈夫な被膜になるので、いにしえより私たちの生活を豊かにしてきました。
ですが漆に触れるとかぶれるという困った一面もあります。

そもそも漆は漆の木から採取された樹液を加工した天然塗料です。江戸時代末期に黒船が洋式ペイントを日本に持ち込んでから漆文化は庶民の生活から離れ、さらに合成樹脂の開発で漆はますます高級志向の道を余儀なくされました。地元では採取した漆で木工品を仕上げ、流通させて伝統産業は継承してきましたが、漆産品は減少の一途を辿っています。

塗料・塗装工業においても、これからは脱石油原料とCO2排出量削減がとても重要です。なので環境にやさしい塗料としての漆(常温乾燥、無溶剤、資源作物、資源植栽)に注目することは有効な方法だと言えましょう。この観点から漆器や仏壇だけではなく、漆の利用拡大を目指し、新たな漆を開発しています。開発された漆は今までの漆と同じく漆膜独自の美しい肌合いをもち、工業への進出が可能な塗料です。

従来の漆は常温で乾燥しますが、一定の湿度を必要とします。一方、開発された漆は、乾燥時間を大幅に短縮できるだけでなく、低温・低湿でも乾燥します。その上漆かぶれを軽減できること、屋外使用でも、光沢低下が少なく本来の漆では考えられないようなことです。

開発された漆を塗った乗用車はかなりの走行距離でも漆膜の美しさは保たれています。漆膜の光沢・塗膜厚の減少を定期的に測定しましたが、雨染みや汚れは自然浄化されるようです。屋外用や工業製品への漆塗装が身近になることでしょう。また、外壁塗装への採用も夢ではなくなるかもしれません。

 

作成者: admin

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